背中が広く。
誤解されやすい言葉の一つです。
私のレッスンではよく使う言葉ですが、
一般用語というか、普通の言葉で、
また専門用語でもあります。
「背中」も「広く」も普通の言葉ですが、
レッスンで使うとなると意味合いが変わってきます。
日本語で背中というと、なんとなく
肩の下あたりから腰の辺りまでを指すこと思います。
肩や腰は含まないようなイメージ。
違う言葉があるので違う部位、そんな感じです。
英語では「Back」。
多分後ろから見た時に見える、
頭、足、腕以外の場所なんじゃないでしょうか。
(英語圏の方教えてください)
上の方のBack、下の方のbackという言い方もします。
そうだとすると背中と訳されていますが、
英語で指すところを基準にして考えないといけません。
アレクサンダーさんの著書の中で、
「背中が広く」を説明している箇所があり、
・誤解されやすい説明で、教師によって示される必要があること。
・骨の構造の変化や、胸腔が拡大すること。
これらが書かれているだけで、腕の話は出てきていません。
上の方のBackの話です。
その後に浮遊肋骨や呼吸の話が続きますので、
また曖昧にしておいた表現だということでしょう。
どこかで読んだのか聞いたのか、
フェイスタオルを縦に長く持ち背中に見立てた時、
背中が長くはタオルが縦に十分広がっている状態で、
背中が広くはタオルが横にも十分広がっている状態。
そうして腕は外側に向かうようにすれば、
背中は広がってくようになります。
そう説明されていました。
アレクサンダーさんの説明と違い、
この説明では平面的になっています。
伝言ゲームが失敗したのか、
教える時に伝え間違ったか、
受け取り間違ったか。
もっというと教師側がわかっておらず、
見た目だけの説明しかできなかったか。
確かに「背中が広く」なると、
タオルの説明のようになりますから、
この説明は嘘ではありません。
しかし本質が伝わらない。
しかもそこに腕の話が付け加わっている。
わかりやすく説明するための
方便だったのでしょう。
しかしかつての私のように、
今よりももっと感覚が信頼できるもではなく、
見た目の変化でしかわかることができていないと、
そのわかりやすい説明しかできませんし、
それが本当のことだと伝えてしまえます。
間違えやすい説明だとわからずに、
素直に伝えてしまいます。
本当にこれは広まらないテクニックだと
しみじみと思います。
(お手軽なものではないという意味で)
自分で考えないといけないし、
自分でやらないといけないし、
感覚が信頼できるようにならないと
文字だけでは自分のわかる意味でとらえられてしまうし、
ともすると簡単なようにも思える。
伝言ゲームが難しいんですよね、とにかく。
それでも2度の大戦を乗り越え
100年以上も伝えられている。
そこに凄さを感じます。
実際に何度もレッスンに通い、
自分のものとして、それを伝えられるレベルにまで
自分で試行錯誤してきた人々のおかげです。
そうするべきテクニックだと。
「私と同じことをすれば、必ずできるようになります。」
アレクサンダーさんはこんなことを言っていたようですが、
私たちがこれをするのはできないとしても、
アレクサンダーさん自身が行ったことの
後追い体験を、教師と一緒にすることで、
着実に彼のテクニックは身についていきます。
「背中が広く」もそうですが、
レッスン、体験してみませんか。